2006年02月19日

10000人目のお客様

「おめでとうございます」
 店に入るなり、突然頭上から紙ふぶきが舞い降りてきた。
「当店開店以来、10000人目のお客様です」
 そこは女性向けのスポーツショップ。水泳部に入っている恵美に連れられてやってきたのだ。
 俺はぽかんとした表情で、店員から花束を受け取る。横では、「すごいじゃない」と恵美がやたらはしゃいでいる。
「10000人目のお客様には、当店の水着の中からお好きな物を一つお贈りさせていただきます」
「でも、そういうことだったら彼女の方を10000人目にしてもらえませんか?」
 俺は代わりに恵美を前に出す。元々恵美の用事で来ているわけだし、もらえるのが水着ならばなおさらだ。
 しかし店員はどうにも融通が利かない。
「申し訳ございませんが、お連れの方は10001人目ですので……」
 おいおい、実際にはそうかもしれないけど、ほとんど並んで入店しただろ? でも、まあいいか。水着をもらってから恵美にプレゼントすればいいわけだし。ラッキーだったということは間違いないし、とりあえずもらえる物はもらっておこうか。

 とはいえ、陳列されているのは女性物ばかり。正直なところ、選択の基準がよくわからない。
「恵美、どんなのがいい? 競泳用の探してるんだっけ?」
「うん。でも、せっかくだからかわいいのがいいかな」
 恵美は大量にかけられている水着をかき分け、好みの水着を物色している。
「よろしければ、試着されてはいかがですか?」
 店員が試着を促してくる。
「だってさ」
「うん。とりあえず、これと、これと……」
 しかし恵美が幾つかの水着を手にとって試着室に入ろうとすると、それを店員が押しとどめる。
「大変申し訳ございませんが、あくまでも10000人目のお客様への贈り物ですので、そちらのお客様はご遠慮いただけないでしょうか」
 は?
「でも、実際に着るのは恵美ですし、恵美が試着しないと……」
「ですが、お客様。10000人目はあくまでもお客様ですので、お客様に試着していただかないと……」
「だってここには女物しかないじゃないですか。俺が着られるものはないでしょう?」
「ご安心ください。当店の水着は着る方を選ばず、どなたにでも似合うよう設計されております」
「いや、でも俺、男ですし……」
「大丈夫ですよ。たとえばほら、これなんていかがですか」
 店員が取り出したのはブルーのビキニ。
「ちょっと失礼いたします。あ、それそれ」
 俺は試着室に押し込められると、その店員の手によってくるくると服を全て剥ぎ取られてしまった。
「何するんですか!」
 俺は股間を隠しながら、情けなく叫ぶ。ああ恵美も、こっち見るなよ!
「次はこちらをちょちょいのちょい、と」
 するっとブルーのビキニが俺の足を通る。ちょっと待って、そんなの穿かされても……。
「最後にこちらをほいほいっと」
 ビキニのブラが、俺の上半身にぴたっと巻きつく。だから、やめろってば!
 店員の熟練の腕によって、俺は一瞬の内にビキニの水着を装着させられてしまった。ああもう、何で俺がこんなことされなきゃいけないんだよ!

 しかし、試着室の鏡に映った俺の姿は、既に俺のものではなくなっていた。



10000.jpg



「ホラお客様、とってもお似合いですよ」
「あの、あの……」
 上手く言葉が出てこない。えーと、こういうときはどう言えばいいんだっけ?
「あの……、他のも試着してみていいですか?」


(おしまい)



 えーと、18日に10000アクセスに到達いたしました。油断していたためにそれ用のネタはこれっぽっちも考えていませんでしたので、急遽適当にでっち上げました。
 1月以降のペースを考えると到達は3月くらいかなあと思っていたのですが、先週美性体のアンテナ.に捕捉されたおかげでどかどかアクセスが増えちゃいました。うちはTSネタ少ないのに恐縮です。

 皆様、今後ともよろしくお願いいたします。


ラベル:TS 女装
posted by 三月うなぎ at 00:51| Comment(0) | TrackBack(0) | TS | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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