2011年07月18日

かませ犬

「私にエリコのかませ犬になれとおっしゃるのですか!?」
「幼いころから英才教育を施され、多くの大会で栄冠を手にしてきたお前の実力は、俺が一番よく知っている。お前くらいのレベルの選手を相手にしなければ、エリコの真の実力を引き出すことはできないだろう」
「ですが、明日からは世界選手権の予選が始まります。私にはこんなことをしている暇はありません」
「お前のエントリーは取り下げた」
「なんですって!?」
「悪いが今回は我慢してくれ」
「……私の力がエリコに劣っているとは思えません」
「現時点では、確かにそうだろう」
「私では世界に通用しないと、しかしエリコなら通用する可能性があると、そうおっしゃるのですか?」
「そうだ」
「……」
「……」
「……わかりました。とうてい納得できる話ではありませんが、今回だけはコーチの命令に従いましょう」
「すまない」
「ただし、もしエリコが不甲斐ない試合をするようなら、私は容赦なく叩き潰します。よろしいですね?」
「ああ」
「それから……」
「?」
「それから、プレイヤーとして世界の頂点に立つこと、私はけして諦めたわけではありませんから」
「……ああ」




kamase.jpg



「さあ、早くファスナーを閉めてください。私の決心がにぶる前に」



(おしまい)






ラベル:着ぐるみ
posted by 三月うなぎ at 03:25| Comment(0) | TrackBack(0) | 着ぐるみ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。

この記事へのトラックバック
×

この広告は180日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。