2006年11月17日

ブラコ娘

 変な夢を見た。
 ある朝ベッドの上で目覚めた沙織は、奇妙な夢の情景を反芻してみた。

 昨晩は自室のベッドの上で漫画を読みながら音楽を聴いていたはずだった。午後11時を回ったことは確認したが、まだ眠るには早い時刻だった。
 読んでいた漫画は、主人公が彼氏のための誕生日プレゼントを物色している場面に差し掛かっていた。横から友達がいろいろ口を挟むのだが、主人公はなかなか決定することが出来ないでいる。そのシーンははっきりと覚えている。
 そのとき、どこからかブルブルブルと奇妙な音がしたかと思うと、茶色くてモコモコとした不気味な生命体が現れた。そいつは沙織が悲鳴をあげる間もなく、強い腕力をもって沙織を捕らえ、どこかへと連れ去ってしまったのだ。


 気が付くと、沙織は手術台のような所に、うつ伏せに寝かされていた。両手両足は枷によって縛められ、動かすことが出来ない。
 沙織が顔を上げると、あの茶色い生命体が3人、台の周辺に立っていた。そいつらはブルブルブルと振動音のような声を出して、なにやら会話をしているように見えた。
 やがてその中の一人が、沙織に向かって何かを語りだした。もちろん沙織には何を言っているのかは理解できない。
 沙織が何かを言おうとしたそのとき、沙織の背中に激痛が走った。まるで針のようなものでえぐられているかのようだった。痛みに耐えかねて沙織は暴れるが、しっかりと台に固定されているために、四肢を動かすことも叶わない。
 針のようなものはなおも沙織の背を引っ掻き回す。
 その拷問のような時間は、およそ3分ほど続いた。針が抜かれた頃には、沙織の意識はもう絶え絶えになっていた。
 背に治療が施されているのか、次第に痛みが引いていく。疲労困憊のとなっていた沙織の意識も、やがてゆっくりと失われていった。



 そして沙織はベッドの上で目を醒ました。
 夢の様子を思い出し、沙織はぞっとする。あれは夢だったはずだ、背に痛みはないし、大丈夫だ。沙織はそう自分に言い聞かせ、恐怖心を払拭しようとする。
 それでも沙織は一抹の不安を覚え、そっと背中に手を伸ばして、夢の中で痛めつけられた辺りにそっと触れてみた。

「!」

 沙織の指に、なにかできもののようなものが触れた。けして大きくはないけれど、確かに何かが存在している。
 前からあったものだろうか。
 場所が場所だけに、気が付かなくても不思議はない。もっとよく確認するために、沙織は服を脱ぎ、鏡の前に立った。
 肩甲骨の下辺りに、茶色い突起が見える。そのできものから、夢の中に出てきた茶色い生命体の姿を連想してしまい、沙織は顔をしかめた。

 そのとき、沙織の背中のできものがまるで生きているかのようにピクリと揺れると、沙織の背中が大きく隆起し始めた。
「あぐっ!」
 沙織は思わず前につんのめる。そうしている間にも、沙織の背には茶色のこぶのようなものが増殖し、山のように盛り上がっていく。


braco.jpg



 茶色のこぶは沙織の全身を侵食していき、今や沙織はあの茶色い生命体と同じような姿となってしまった。

 これは一体どういうことなのか。
 あれは、夢ではなかったのか。

 わけもわからず、沙織は悲しそうにブルブルブルと声を上げた。
 ドアの向こうからは、朝食の支度が出来たという母の声が聞こえてきた。


(おしまい)



 マイナーな怪獣に光をあてるシリーズ第2弾(宇宙人だけど)。

 ウルトラセブン第22話「人間牧場」に登場する、ブラコ星人娘。ブラコ星人は食料を育てるために、地球人の女性に胞子を植えて牧場のようにしてしまうのです。
 この話は、もうちょっとひねる余地があったように思います。反省。



posted by 三月うなぎ at 01:59| Comment(9) | TrackBack(0) | 怪獣 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
オクスターにブラコ星人とは確かにけっこうマニアックですね。(知ってますけど。そんなにマイナーですかね?それって僕だけ?)で、マイナー怪獣シリーズですが、けっこういいですね。特にブラコ星人にされた彼女はかわいそうでした。でもそういうのもたまにはいいですね。では次は、あんまり目立っていないウルトラマン80の(しかも怪獣もあんまし知られてないですもんね。なんでだろ?)確か名前は、テツオンでしたっけ?テツオンなんかどうでしょう?テツオ少年が宇宙の種(植物でしたっけ?)を飲み込んでしまい怪獣になってしまうという内容ですかね。それの女の子バージョンってのはどうでしょうか?それなら簡単にストーリーもだいたいはできるんじゃないでしょうか?よろしくお願いしますね。
Posted by テンプラー星人 at 2006年11月18日 00:53
私自身特撮好きですのであまり客観的に推し量ることはできないのですが、一般の人にとっては一部のメジャー怪獣(セブンならエレキングやキングジョー、新マンならベムスターやツインテールあたり)を除けば、他はあまり知名度は高くないのではないかと思います。
80は一応リアルタイム世代なのですが、実はほとんど憶えていないんですよね。いま描けるとすれば、妄想ウルトラセブンくらいかも……。
Posted by 三月うなぎ at 2006年11月18日 02:20
初めまして。
妄想ウルトラセブン、いいですねぇ。
わたしも女性が強制的にセブンに変身させられる
妄想をしたことありますw。
Posted by くま at 2006年11月18日 08:48
ウルトラマンはネタにしやすい素材ですよね。
男性が女性ウルトラマンに乗り移られるとか、逆に男性ウルトラマンが女性に乗り移るとか。
デザインはいろいろあれど、シルエットはボディラインそのまんまなので、女体化というのもやりやすそうです。
Posted by 三月うなぎ at 2006年11月18日 21:52
そういう意味では隼奥さんの場合、
シルエットはボディラインそのまんまなので
とても萌えますね。
個人的にはマスクオフで素顔のほうが
恥ずかしさ倍増でさらに興奮します。
Posted by くま at 2006年11月21日 21:48
イラストで表現する際、マスクオフにはジレンマがあるんですよね。より完全な変身という意味ではマスクオンなのですが、中の人を意識するためにはマスクオフなのです。なかなか難しいところです。
間を取って、顔出ししてフェイスペインティングなんてどうでしょうかね。
Posted by 三月うなぎ at 2006年11月22日 00:49
顔出ししてフェイスペインティング。
面白そうですね!
機会があれば
ぜひ、おねがいします。
Posted by くま at 2006年11月22日 08:34
それにしても、
変身した足と太ももとのコントラストが
萌えますねぇ。
そそります。
Posted by くま at 2006年11月22日 21:16
顔出し着ぐるみ with フェイスペインティングで連想したもの。
ワイルド星人、剣聖ビルゲニア、流れ暴魔ヤミマル。
……うーん、なんか違うような。

っていうか、ヤミマルは着ぐるみの仲間に入れているのに、キリカは入れていなかったことに今気が付きました。私の中では男性と女性で扱いが違うのかもしれません。それとも衣装の違いでしょうかね。

Posted by 三月うなぎ at 2006年11月22日 23:02
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