2007年08月15日

赤いキャンディー、青いキャンディー

「おーい。年齢が変化する薬、やっと精製できたよ」
「ホント!? やる! あたし被験者やる!」
「コラコラ。がっつかないの」
「だってさ、最近あたしも目に見えて肌のツヤがイマイチだしさ、目元もなんかたるんでる気がするしさ、妹のヤツは先に結婚しちゃうしさ……」
「ハイハイ。わかった、わかった」
「あんただってあたしと同じ歳なんだから、いい加減焦ってこないの?」
「私は研究が恋人だから」
「あー、そうですか」



「で、若返りの薬はどこ?」
「これだよ。こっちの赤いキャンディーを食べると若返る。こっちの青いキャンディーを食べると歳をとる」
「歳をとる薬なんていらないよ」
「元に戻れないと困るでしょ?」
「若くなって何で困るのさ」
「ま、そう言うのなら、いいけどね。それでさ、あんた今、35歳だっけ?」
「まだ34ですぅ」
「あ、早生まれだったっけ。ま、大して変わらないんだけどね」
「四捨五入すれば大違いですぅ」
「だとすると、大体10歳くらいは若くなるかな」
「歳が関係あるの?」
「うん。若返りの薬は、歳をとっているほど効き目があるから」
「へー」
「はい、じゃ、この赤いキャンディーね。一息に飲み込んで」
「あいよ。それじゃ早速……。ゴクリ」
「どう?」
「どうって、別になんとも……。ああっ、なんか、背中が重い……」
「変身が始まったみたいね」
「何? 立ってられない……。どうなってるの?」
「あ、仰向けにならないで、うつぶせになっといた方が楽だよ」
「え? ちょっと、肌がガサガサになってる……。やだ! 何よ、これ!」
「暴れないで、おとなしく腹ばいになってなさい。ひっくり返ると大変よ」
「なんなのよ、これ! 何が若返りの薬よ! 失敗作じゃない!」
「成功だよ! あんたは今、ガラパゴスゾウガメに変身しているのよ」
「ガラパゴス……、ゾウガメ!?」




elephant_tortoise.jpg




「ゾウガメの寿命は人間よりもかなり長いのよ。で、あんたは今34歳のゾウガメになっているわけだから、人間の年齢に直せばおよそ20代前半くらい。ね、10歳くらい若くなっているでしょ」
「若くなっているって言うの、それ!?」
「若くなってるはずよ。身体の中から活力が湧いてこない?」
「むしろ身体が重いんだけど……」
「なるほど。ゾウガメ的にはそんなモノなのかもね」
「……ねえ、早く元に戻してよ」
「まだいいじゃない。もっとデータを取らせてよ」
「亀になるなんて、やだよぉ!」
「そう? 結構かわいいよ」
「かわいいなんて意味の広い言葉じゃ誤魔化されないわよ。あんたの場合、おっさんでも、郵便ポストでも、何でもかわいいとか言ってるじゃない!」
「ポストよりは、あんたの方がずっとかわいいよ」
「そんな話はいいから! ……ねえ、その、歳をとる薬を飲めばいいんでしょ? お願いだから飲ませてよぉ」
「さっきは要らないって言ったじゃん」
「……ゴメン、あたしが悪かったからさぁ。ね、この通り」
「しょうがないなぁ。ほれ、口開けて」
「あーん。んぐ、んぐ……」
「これを飲むと、今度は人間と同じくらいの寿命のアオウミガメに変身するから、元の年齢とだいたい同じくらいになるはずだよ」
「……年齢はいいから、とにかく人間に戻して!!」


(おしまい)



 メカ系から生物系まで様々な変身のシステムについて考察されている、たのなかさんの「たのなか絵置場(いつまでたっても仮公開)」で、「ふしぎなメルモ」の話題が上がっていました。

 http://track-back.net/dameninngenn/archive/313

 私にとって「ふしぎなメルモ」といえば、赤いキャンディーと青いキャンディーを食べることによって、大人になったり子供になったりする漫画、という認識でした。ただ、不勉強にして私は知らなかったのですが、アニメ版では動物への変身という要素も含まれているみたいですね。そういえば記憶を掘り起こしてみると、オープニングのアニメーションでもそんな描写があったような気がします。
 詳しくはたのなかさんの記事を参照して頂きたいのですが、「ふしぎなメルモ」では年齢変化を利用することで動物変身を実現しています(実はその元になっている、「胎児は生物の進化の過程を辿りながら成長する」という説は誤りらしいのですが)。そこで私はその逆といいますか、動物変身をすることで年齢変化を成し遂げるということを考えてた次第です。

 もっとも、実はこの方法にはちょっと無理があります。本川達雄の「ゾウの時間 ネズミの時間」などで知られるようになりましたが、生物は一生の間に心臓が拍動する回数がほぼ一定であるという説があります。これに習えば、例え34歳の人間がゾウガメに変身したとしても、34歳のゾウガメに変身するのではなく、人間年齢の34歳に相当する(ゾウガメ年齢で言えば60歳くらい?)ゾウガメになってしまうような気がします。それをゾウガメ年齢34歳のゾウガメに変身させるということは、その段階で年齢退行が含まれているということなんですよね。
 それからもう一点、動物の年齢と人間の年齢を対応させるときに、単純に寿命の比で表してもよいのかという問題があります。動物によって成長の仕方は様々ですので、本当は子供の期間と大人の期間など(本当はもっと細かく?)を分けて考えなくてはなりません。
 たのなかさんの記事を読んでパッと思いついただけのアイディアなので、残念ながら、その辺はあまり練り込めませんでした。他にも突込みどころがありそうで、ちと怖いです。アホな間違いがあったらごめんなさい。

 話の中で、本当は年齢について具体的な数字を出したかったのですが、今回はいろいろとぼかしてしまっています。なぜかと言えば、実際のところゾウガメの寿命がどのくらいなのか、はっきりとはわかっていないからなんですよね。なぜかといえば、人間よりも寿命が長いために、きちんとした年齢を調べるのが難しいからだそうです。それは当然で、今死んだゾウガメがいたとしても、そのゾウガメがいつ生まれたのか、先人が記録していなければわからないわけですからね。自分で記録を開始しても、その成果が出るのは百数十年後になってしまいます。サンプル数も多く取ることができませんしね。



 今回、アイディアのきっかけを頂いたたのなかさんに、深く感謝いたします。
 よそ様のサイトからどんどんアイディアを頂いてお互いにやりとりし合うということが、ネットで創作物を晒す最大のメリットなのではないかと思っています。そのこと自体は前々から考えていたのですが、生来の引っ込み思案体質のせいでなかなか実行できずにいました。今後もなるべくアンテナを広げて、あちらこちらから、いろいろと美味しそうなネタを吸収していければと思います。




ラベル:変身 動物 超科学
posted by 三月うなぎ at 00:52| Comment(3) | TrackBack(0) | ケモノ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
メルモちゃんですか、なつかしいなぁ。
なめるキャンディーの大きさを調節して、メルモちゃんは動物に変身していました。
それを見ていた弟が、まねて蛙になって戻れなくなるんですよね。
お母さんのお腹の中で人間は誕生するまでに48億年の進化の歴史を体験しているとか何とか言ってたのですが、そうなんですか。ふ〜ん。
Posted by よしおか at 2007年08月15日 18:33
こちらには はじめましてです(^^)
おジャ魔いたします。

「変身」と一言でいっても、色々あるものなんですね。着眼点というか発想がとてもユニークで感心いたしました。
これから少しずつ見させて頂きたいと思います。

早速コメントしたい記事がありましたので続きはそちらに…
Posted by たのなか at 2007年08月15日 21:21
to よしおかさん

やっぱりメルモちゃんの動物化って有名だったんですね。
「ふしぎなメルモ」は再放送されてはいたのですが、小学生だった当時は年齢変化にあまり興味がなかったことと、ちょっとHな雰囲気が恥ずかしかったため、あまり観ていなかったんですよね。
新聞のテレビ欄に単に「メルモ」と書かれていたのを見て、「とんがり帽子のメモル」の再放送と勘違いしていたという事情もあったりするのですが(アホだ……)。


to たのなかさん

いらっしゃいませ。コメントありがとうございます。
本当はトラバを打とうと思っていたのですが、なぜか上手く送れませんでした。

>おジャ魔いたします。

あ、こんなところにどれみマニアが!
Posted by 三月うなぎ at 2007年08月15日 23:12
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