ハロウィンの夜。とある家の前で、子供たちが大きな声をはりあげた。
それに応えるように、軋んだような音を立てながらドアが開き、中から一人の女が現れた。

(え!? この人、口の中で明かりが灯っている。どうなっているんだろう?)
顔に骸骨のペイントを施した少女は、女のカボチャのような顔を仰ぎ見た。
「一体何の用だ?」
女は玄関に仁王立ちしたまま、子供たちに物憂げに尋ねた。
「あの、その……、えぇと、Trick or... Treat...」
女の異様な姿に気圧されながらも、少女はおずおずと口を開く。
「じゃあ、Trickだ。お前たちのTrickとやらを見せてみろ」
「いや、Trickと言われても……、その……、困るんだけど……」
『Trick or Treat』なんてただの決まり文句なのに、お菓子を貰うことしか考えていなかった子供たちになんの悪戯ができるというのか。
「芸がないのなら、帰れ」
女はフンと鼻をならすと、子供たちにキャンディーをぶつけ、そのまま扉を閉じてしまった。
取り残された子供たちは、言葉もなくその場に突っ立っていた。
魔女に扮した女の子は、足元に散乱しているキャンディーをひとつ摘みあげて、果たしてこのキャンディーを貰っていってもよいものなのかどうか思案していた。
(おしまい)
BGM:PumpKin「プレッジハート(誓約)」
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軽い遊びのはずのハロウィン、しかし人によっては真剣で…このすれ違いが妙に複雑で。
しかし、かぼちゃマスクのしかけ、かなり気になりますね。
ところで今日、一人カラオケに行ってきました。
昼の2時から、7時までで、ソフトドリンク飲み放題で、1370円。
帰りに受付に、かわいい魔女のマントと帽子を被った女の子がいました・・・。
ハロウィン、こわい人より、かわいい人が出てきたほうがいいです・・・。
普段は特殊メイクで美人なんだけど、ハローウィンの時は、本当の顔になっていて、年に一度だけの自分にもどれる時を楽しんでいたのを邪魔されて怒っていた。と言うことだったら怖いですね。