2006年12月20日

へびつかい座娘とへび座娘

 昔、コロニスという美しい娘がいた。コロニスは他に並ぶ者がないほど卓越した技術を持った医者だった。神の血を引くコロニスの医術は、たとえどんな重篤な病であっても、深刻な外科的損傷であっても、たちどころに治してしまう力を持っていた。時には死者さえも蘇らせることができるという噂さえ立つほどだった。
 そのコロニスには恋人がいた。名はアポロ。アポロは壮健な体躯を持った若者であり、熊や獅子を前にしても怯むことなく立ち向かうだけの度胸と、それを仕留めることができるだけの技量とを併せ持った、優秀な狩人だった。

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ラベル:変身 動物 TS
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2006年11月22日

さそり座娘

 三田村がバーの扉を開けたときには、時刻は既に午後11時に差しかかろうとしていた。平日の夜ということもあり店内は閑散としており、客は僅かに一人だけのようだ。
「おう、三田村! こっち、こっち」
 店の奥のテーブルでその唯一の客――グレーのセーターを着た女性が三田村に手を振る。三田村のサークルの先輩、水沼レナだ。既に多量の酒を飲んでいるのだろう。レナの顔は相当真っ赤になっている。グラスを握る手も危なっかしい。
 三田村はコートを脱ぎながら、レナの向かいの椅子に腰掛けた。
「どうしたんですか? こんな時間に呼び出して」
 一時間ほど前に送信されたレナからの出頭命令メールを受け取って、三田村は取るものもとりあえず駆けつけたのだ。
 とりあえず飲めとレナは自分のグラスを差し出すが、三田村はそれを断ってライムサワーをオーダーした。その態度を見て、レナはつまらなそうにグラスに口を付けた。そして三田村を睨みつけてこう訊ねた。
「ねえ、今日ってなんの日か、知ってる?」
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ラベル:女怪人
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2006年10月17日

てんびん座娘

 昔、貧しい親子がいた。年老いた両親は病弱で働くこともままならず、その生活は娘のわずかな稼ぎによってどうにか成り立っていた。
 ある日、娘の前に悪魔が現れた。
「お前の両親を買い受けよう。二人合わせて、金貨3枚だ」
 金貨3枚というのは、娘にとっては信じられないほどの大金だった。しかし両親を売り渡すことなど娘には考えられなかった。
 娘が悪魔の申し出を断ると、悪魔は一つの提案をしてきた。
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ラベル:変身 魔法 ASFR
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2006年08月18日

しし座娘

 絶体絶命とは、こういうことを言うのだろう。
 私・くノ一の梢は秘伝の忍術を記した巻物を奪うという使命を帯び、敵の館へと侵入していた。しかし首尾よくその巻物をから盗み出したまでは良かったのだが、敵の追跡を撒ききることが出来ずに、今こうして周囲をぐるりと取り囲まれてしまったというわけだ。

 私は岩場の上から周囲を見回す。敵の数はざっと4、50人といったところか。私を取り囲むその輪は、徐々にその大きさを縮め、私に迫ってくる。
 私の脳はめまぐるしく回転する。この状況を切り抜けるには、はたしてどうすれば良いのだろうか。
 しかし何度考えても導かれる答えは一つしかない。
 逃げ切ることなど不可能だ。
 その答えに三度たどり着いたところで、私は覚悟を決めた。

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ラベル:変身 動物 特撮
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2006年07月22日

かに座娘

 1年生のとき、私達のクラスは学芸会で「猿蟹合戦」を演じた。中学生にもなってなぜ「猿蟹合戦」なのかは知らないが、ガキから大人になりかけている年代らしい、いい感じのバカっぽさが出せたのではないかと思う。それなりにウケも取れた。私は蟹の役だった。

 2年生のとき、私達のクラスは学芸会で「浦島太郎」を演じた。1年のときと同じ路線を狙ったものだ。しかし多少あざとすぎたのか、ギャグが上滑りしていたようだ。会場のウケもイマイチだった。私はやはり、蟹の役だった。

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ラベル:着ぐるみ 動物
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2006年06月13日

ふたご座娘

 鏡に映った僕の顔。それは僕の顔であると同時に、姉の顔でもある。

 僕と双子の姉とは、とてもよく似ていた。
 双子とはいえ男と女、すなわち二卵性双生児であるため、一般的には普通の姉弟程度にしか似ていないはずなのだが、それでも僕と姉とは瓜二つと言えるほどよく似ていたのだ。
 小学生の頃は、両親でさえしばしば僕たちを間違えることもあった。
 しばしば、僕が姉の服を着たり、姉が僕の服を着たりして、互いに入れ替わったりもした。姉の服を着て僕になりきった姉を前にすると、僕も口調から仕草から考え方まで完全に姉になりきっていた。
 僕たちの心には、一切の垣根が存在しなかった。

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ラベル:女装
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2006年05月17日

おうし座娘

 昔から、気性の荒い女だと言われていた。
 本来私は争いごとを好まないし、無理やり我を通すこともない。花を愛で、動物を慈しみ、書を嗜む、いたって温厚な人間なのだ。しかし、何かのきっかけでついスイッチが入ってしまうことがしばしばある。
 一度スイッチが入ると、相手が誰だろうと関係はない。屈強な男性でも、ひ弱な女性でも、一直線に相手に向かい、思いきり拳を振るい、力の限り殴りつけてしまう。
 もちろん私自身もただですまないことも多いのだが、頭でわかっていても身体は止まってくれない。まったく、厄介な性分だと思う。

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ラベル:変身 動物 不条理
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2006年04月04日

おひつじ座娘

 むかし、ヘレという美しい娘がいました。ヘレの両親は早くに離婚していたため、ヘレは継母と一緒に暮らしていました。しかし父は家にはほとんど寄り付かず、継母からは碌に食事も与えられないままにこき使われ、それは酷い生活を強いられていました。

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ラベル:変身 動物
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2006年03月06日

うお座娘

 日曜日の昼下がり、俺は海岸沿いの国道をバイクでひたすら疾走していた。忙しい仕事の合間をぬって久しぶりに取れたせっかくの休日だから今日は一日ごろ寝して過ごすつもりだったのだが、3月にしては暖かい穏やかな日差しに射られていたら、家にいることに対してとてつもない罪悪感を感じてしまったのだ。
 夏場は海水浴客でにぎわうこの街も、今の季節には荒れる日本海から冷たい風が吹くのみだ。少し休憩するために、俺は軽トラが一台停まっているのみの広々とした駐車場にバイクを停める。自販機でコーヒーを買うと、鉄パイプでできた柵に肘をのせ、ごくりと一口、コーヒーを飲み込む。
 広く海岸を眺めると、シーズンオフだとしても遊びに来る人間はいるのか、そこかしこにゴミが散乱している。『海をきれいに』なんて大層なことを言うつもりもないが、そんな光景を見ると単純に悲しくなる。ゴミを持ち帰るくらい大したことでもないのに、何故その程度のことができないのか。

 最後のコーヒーを口に流し込んだところで、俺はまた出発することにした。柵から離れ、ゴミ箱を探してきょろきょろしていたときに、ふと海岸から楽しそうな子供の歓声が聞こえてきた。

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ラベル:変身 妖怪 TS
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2006年02月07日

みずがめ座娘

 昔、草原に美しい娘が暮らしていた。その娘の比類なき美貌は広く知れ渡り、遠く神々の宮にまで届いていた。その噂を聞いたある神が娘の容貌を気に入り、娘をさらって自らの小間使いとしての役目を与えた。

 ある日、神々の宴が催された。幹事役の神は小間使いの娘に酒を注いで回る役を与えた。
 しかし、娘がとある神に酒を注いでいたときに、いたずら好きの神が放った鳩に驚き、酒の入った壺を取り落として酌を受けていた神を酒浸しにしてしまった。酒をかけられた神は怒り、娘を天高くにある水場に連れて行くと、水場へと流れ込む水を供給するみずがめを娘に抱え上げさせ、娘にその重いみずがめを永久に掲げ続けるよう厳命した。

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ラベル:魔法 ASFR
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2006年01月15日

やぎ座娘

「神様、私、一度でいいから海の中を自由に泳いでみたいんです」
「わかった。お前の願い、きき遂げよう」

 ある夜のできごと。生まれつき足の不自由な娘の願いは、一瞬流れた星によって神へと届けられた。そして娘は一晩だけ、海の中を自由に泳ぐことのできる身体を手に入れたのだった。


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ラベル:変身 魔法 動物
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2005年12月18日

いて座娘

「井上、大変だ」
「どうしたんですか、コーチ」
「大会本部から連絡があって、バイアスロンのルールが大幅に変更されたそうだ」
「ルールの変更って……。こんな時期にですか?」
 井上美優はバイアスロンのオリンピック日本代表である。現在は2ヵ月後に迫っているオリンピックに向けて、調整の真っ最中だ。そんな時期に、ルール変更に対応するのは容易ではない。
「それで、どう変更されたんですか?」
「それが、乗馬と弓のバイアスロンとなるそうだ」
「は? 乗馬と弓って……。まるっきり別物じゃないですか」
「ともかく時間が無い。すぐに練習を始めるぞ」


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ラベル:変身 化け物
posted by 三月うなぎ at 00:32| Comment(1) | TrackBack(0) | 星座 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする