妙な夢を見た。
その夢の中で、僕は眠っていた。暖かい布団に包まれながら、何か楽しい夢を見ていた。
しかし僕はなにか大きな手のようなものに掴まれて、眠ったまま布団からつまみ出されてしまったのだ。つまみ出されたといってもけして乱暴にではなく、その大きな手によって、とても丁寧に、とても優しく扱ってもらうことができた。おかげで僕は大きな安心感に包まれたまま、そのまままどろみの状態を続けることができた。
大きな手に乗せられてしばらく宙を飛んでいたかと思うと、僕はピンク色の液体で満たされた、バスタブのような物の中に落とされた。いつの間にか服は脱いでしまっていたようだ。その液体は少しクリーミーでとろみがあり、ほのかに甘い匂いがした。
僕はお風呂気分で気持ちよくその液体に浸かっていたのだが、急に何かの強い力で頭を押さえこまれ、頭から全身その液体の中に浸かってしまった。
溺れる。
僕はそう思って必死でもがこうとしたけれど、身体は全然言うことを聞いてくれなかった。しかし不思議なことに、その液体の中でも僕は問題なく呼吸はできるようだった。そのことに気付くと、むしろ全身の力を抜いて、とてもリラックスすることができた。
気持ちいい……。
その液体は意思を持っているかのように、僕の周りを駆け巡る。まるで全身をマッサージされているみたいだ。僕はしばし、その液体の中でたゆたった。
しかし、なんとなく夢見心地になりかけた頃、突然僕はその液体の中から、ぽんと宙に放り出された。
!
驚く間もなく、僕はせまい袋のようなものの中にすぽんと押し込められた。
何だ、なんだ? この袋は? 僕は一体……。
疑問が具体性を持ち始めると同時に、目の前がうっすらと明るくなってくる。
僕はぱちっと瞳を開いた。完全に夢から醒めたのだ。
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posted by 三月うなぎ at 23:18|
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