2006年01月24日

のっぺらぼう

 あるの晩のことでありました。人気の無い無人駅の駅舎から男がひとり、千鳥足でとことこと歩いてまいりました。男は新年会の帰りでべろんべろんに酔っ払っておりまして、額にはネクタイを巻き、手には寿司の折り詰めと、まあ典型的な酔っ払いスタイルでございます。あっちへふらふら、こっちへふらふらしながらも、それでも勝手知ったるなんとやら。どうにかこうにか家のある方へと向かっておりました。
 しかしそんな状況ですから注意力も散漫になってしまいます。駅を出てすぐのところにある角を曲がったところで、目の前に突っ立っていたたて看板に気がつかず、おもいっきり頭をごつんとぶつけしまったわけです。男はその場でひっくり返ってしまい、あいたたたたたとたんこぶのできた頭をさすり、いてててててと転んだときにしたたかに打った尻をさすって、格好悪いことこの上なし。しばらくは尻もちをついたまま痛みに耐えるばかりでしたが、はたと落ち着いてみるとこんな姿を誰かに見られちゃいないかと気になってしまいます。あたりをきょろきょろと見回していみますと道路の反対側、ちょうど郵便ポストの向こう側に誰かの人影が見えます。

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2005年12月27日

鬼が……

「矢島君、ちょっと実験に協力してもらいたいのだが」
「はい、なんでしょうか」
 矢島宏子は高槻超常現象研究所に勤務する助手である。学生時代は生体工学関連で博士号を取得したのだが、博士に仕事が無いのが今の日本。ポスドクとして3年間出身研究室に世話になっていたがその任期も切れ、30にもなってフリーター生活かと途方に暮れていたところ、どうにか高槻に拾ってもらったのだった。
 高槻は超常現象の研究家という少し怪しい人物ではあったが、背に腹は替えられない。宏子は高槻の研究を手伝いつつも、何とか予算を分けてもらって、細々と自分の研究を続けていた。

「とりあえずコレに着替えてくれ」
 高槻から渡されたのは虎柄のビキニの水着である。
「エロジジイ」
 宏子は高槻を冷たい目線で突き刺す。
「あのなあ、これは実験のためにはどうしても必要なことなんだよ」
「本当ですか?」
 宏子は高槻のことを、倫理的には信用していないが、学者としては信用している。実験と言っている以上何らかの意味はあるのだろう。不信感はぬぐえないが、宏子は着替えるためにロッカールームへと向かった。

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2005年12月06日

ぬえ娘 その2

 私、女優やってます、山本柚香といいます。
 映画でぬえの役をいただいて、ぬえになったときのお話の続きです。
 前のお話はこちらからどうぞ。


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posted by 三月うなぎ at 00:18| Comment(0) | TrackBack(0) | 妖怪 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年12月03日

ぬえ娘 その1

 私、女優やってます、山本柚香といいます。
 先日、映画でぬえの役をもらいました。ぬえってご存知ですか? 漢字では鵺って書くんですけど、頭は猿、体はたぬき、手足は虎、尻尾は蛇っていう化け物です。平家物語なんかにも出てくる、結構由緒正しい化け物なんですよ。
 で、妖怪物のホラー映画なんですけど、女の子のぬえが登場するんです。そのぬえは、頭と体が人間、手足は虎、尻尾は蛇だけど、その頭はまた人間っていう構成でして、その辺は子供向けといいますか、一部マニア向けといいますか、あんまり様式にはこだわらないっていうか、まあ、そういう方針の映画なわけです。
 で、私はその中の、蛇の先についている頭の役なんです。まあ、ぬえの本体ではないのですが、マスコミにも割と取り上げられている映画ですし、女優としての名前を売るステップになるんじゃないかと、密かに期待もしているわけです。


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ラベル:妖怪 変身 超科学
posted by 三月うなぎ at 02:15| Comment(0) | TrackBack(0) | 妖怪 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年11月26日

あ、ケンタウロスだ!

「馬脚の使い心地はどう?」
「違和感バリバリですけど、走るのだけは速いですね、やっぱり」
「撮影が終わる頃には、完璧に使いこなせるようになってるはずだよ」
「いや、撮影が終わったらまた元の足に戻るんですけど……」

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posted by 三月うなぎ at 13:43| Comment(0) | TrackBack(0) | 妖怪 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年09月17日

銭湯の娘

「おい、敏子」
「なに、お父さん、お母さん」
「折り入って、お前に頼みがある」
「何よ、改まって」
「まあ、こっちに来て座りなさい」
 敏子は促されるままに、ちゃぶ台をはさんで両親の前に座る。
「母さん、例のものを」
「はい」
 母が箪笥から、小さな箱を取り出してきた。
「これは先祖代々伝えられてきた秘薬だ。家に危機が訪れしとき、家の娘にこの秘薬を飲ませろと言われている」
「秘薬って……。なんなのよ、それ」
「それは分からない。だが、今こそ家の一大事なんだ。もう他に打つ手はない。頼む、敏子」
「そんなこと言われても」
 突然の展開に、敏子は戸惑っていた。

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posted by 三月うなぎ at 19:11| Comment(1) | TrackBack(0) | 妖怪 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年08月22日

二口女

「ちょっと、いい加減にこれどうにかしてよ!」
「どうにかって言われても……。君が拒食症で困っているって言ったから」
「そうだけど、もういいわよ。早く取っちゃって!」
「そう簡単に言うなよ。もう完全に融合しちゃってるんだから。」
「……これ、めちゃくちゃ食べるのよ。最近、ものすごく体重が増えてきて……。何とかしないとどんどん太っちゃう」
「運動すれば?」
「そんなんじゃなくて、根本的にどうにかしてよ!」
「だから神経レベルで融合しているから、取るのも大変なんだってば」
「いいから、できるだけ早く何とかして!」
「まあ少しずつ剥がしていくにしても、1年くらいはかかるかな」
「……」

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posted by 三月うなぎ at 23:36| Comment(0) | TrackBack(0) | 妖怪 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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