「さあ、服を脱いでここに座って」
僕は美沙に促されるままに衣服を全て脱ぎ捨てると、指示されたように椅子に深く腰を下ろした。背もたれの布が少しちくちくとする。股間を隠すのも隠さないのもおかしいような気がしたが、両手を軽く股の上で組んだ。
美沙は僕の目の前にもう一つ椅子を運んできた。僕が座っているものよりも少し小ぶりな椅子だ。そしてその椅子に、1体の少女人形を座らせた。
人形の顔は10歳程度のように見えるが、体つきはそれよりも幾分成長しているように思われる。首、肩、肘、腰、股関節、膝と、各所に球体関節が仕込んである。一体どんな材質でできているのか、その皮膚はまるで人間のような質感を持っていた。眼は大きく、蒼い。ピンクの唇は固く結ばれ、どんな言葉も発しない。髪の毛はボサボサとしたナイロン製の金髪で、肩にかかる程度まで伸びている。
そしてその人形は、僕と同じように一切の衣服を身に纏ってはいなかった。
「あなたにはこの人形になってもらうわ」
僕は美沙の言葉に驚きを覚えると同時に、その言葉を字面どおりに飲み込む。僕にとって美沙の言葉は絶対だ。美沙がそういうのなら、僕はその人形になるのだ。
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posted by 三月うなぎ at 00:59|
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