「私にエリコのかませ犬になれとおっしゃるのですか!?」
「幼いころから英才教育を施され、多くの大会で栄冠を手にしてきたお前の実力は、俺が一番よく知っている。お前くらいのレベルの選手を相手にしなければ、エリコの真の実力を引き出すことはできないだろう」
「ですが、明日からは世界選手権の予選が始まります。私にはこんなことをしている暇はありません」
「お前のエントリーは取り下げた」
「なんですって!?」
「悪いが今回は我慢してくれ」
「……私の力がエリコに劣っているとは思えません」
「現時点では、確かにそうだろう」
「私では世界に通用しないと、しかしエリコなら通用する可能性があると、そうおっしゃるのですか?」
「そうだ」
「……」
「……」
「……わかりました。とうてい納得できる話ではありませんが、今回だけはコーチの命令に従いましょう」
「すまない」
「ただし、もしエリコが不甲斐ない試合をするようなら、私は容赦なく叩き潰します。よろしいですね?」
「ああ」
「それから……」
「?」
「それから、プレイヤーとして世界の頂点に立つこと、私はけして諦めたわけではありませんから」
「……ああ」
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posted by 三月うなぎ at 03:25|
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